健康ワーケーションモニターツアーを実施しました!

プログラム集合写真

2022年11月、県内外から合計16名の方にご参加いただき、「健康」をテーマにしたワーケーションプログラムの実証事業を実施しました。
宮城県のゲートウェイでもある仙台駅周辺を拠点に、宮城県産食材を活用した食事、特別なグループエクササイズ、健康についてのセミナーなど、健康をテーマに県内外の方々がつながる機会を生み出すことができました。

プログラムにより得られたワーケーションの効果は大きく下記の通りです。

  • 満足度
    プログラム期間後のアンケート調査では、参加者の満足度が平均4.8点(5点満点)でした。
  • ストレス軽減
    プログラム参加前からプログラム参加後にかけて14人中6名のストレス値が大幅に改善したという結果が出ました。
  • ワーク・エンゲイジメント
    仕事に前向きに取り組む姿勢などを示す「活力」の指標について、14人中10人が上昇しました。
  • リカバリー経験
    余暇の使い方を自分で決められる状態を示す「コントロ―ル」と、仕事から心理的・物理的に離れている状態を示す「心理的距離」について、15人中12人が向上しました。

*有効でない回答結果を除いているため、全体数が項目によって異なります。

プログラムの概要

設計上の理念や行動指針

  • ミッション:笑顔で過ごす毎日を手にする!
  • ビジョン:隙間時間を有効活用!ナイスな習慣を獲得
  • クレド(行動指針):THANKS! NICE! NEW!

クレドの「THANKS! NICE! NEW!」については、参加者がツアー中の1日を振り返る際のキーワードとして使用しました。具体的にはそれぞれ以下のような意味を持ちます。

  • THANKS!:今日1日で自分が感じた「ありがとう」を振り返る
  • Nice!:今日1日を過ごす中で頑張った「ナイス」な自分を振り返る
  • New!:今日1日の中で得られた自分にとっての「新しい」学び・気づき・経験を振り返る

実施期間

  • モニター参加者向け実施概要説明:11月1日(火)
  • ワーケーションプレ期間:11月13日(日)〜 11月19日(土)
  • ワーケーション実施期間:11月20日(日)〜 11月22日(火)
  • ワーケーションポスト期間:11月23日(水・祝)〜 11月30日(水)
    ※11月28日(月)にオンライン交流会を実施

調査実施概要

指標
  • 主観的メンタル状態:Mind Scale(https://www.mindscale.jp/)によりメンタル状態を評価する
  • 主観的健康観:自身の認識で自分が健康であるかどうかを評価する
  • ワーク・エンゲイジメント:仕事に対する「熱意・没頭・活力」の3つを測定し、メンタル面での健康度を評価する
  • リカバリー経験:疲労やストレスを回復させるための活動の傾向を評価する
調査方法
  • アンケート調査(全23回)
  • Mind Scale(11月13日~11月30日 毎朝 18回)
  • 体組成計+dヘルスケア(歩数記録)(11月13日~11月30日 毎晩 18回)

プログラム実施スケジュール

実施詳細

プレワーケーション期間:11月13日(日)〜11月19日(土)

配布された体組成計やMind Scale等のツールを自宅等で活用し、心身の健康状態を測定する期間。

ワーケーションプログラム前の健康状態を計測することで、ワーケーションプログラムの効果測定の準備を行いました。

参加者からは、毎日の測定自体が健康を意識するきっかけになったという声もありました。

ワーケーション実施期間:11月20日(日)〜 11月22日(火)

宮城県仙台駅周辺を拠点に実証事業を行いました。メイン会場は以下の2ヶ所です。

  • ケヤキカフェ:宮城県産食材をふんだんに使った栄養士監修ディナーの提供、明日からすぐ使える健康習慣改善セミナー、参加者同士での1日振り返りシェアと鼓舞称賛コミュニティ
  • JEXERライトジム仙台:特別エクササイズプログラムの提供

本実証事業は、朝と夜だけにコンテンツを用意し、日中はご自身のお仕事に集中いただける自由な時間をしっかり確保したプログラムとしました。
また、LINEオープンチャットを活用したコミュニケーション環境も用意し、日中も参加者同士の交流ができるようにしました。

プログラムの設計図

当日の様子は以下の動画をご覧ください。

ポストワーケーション期間:11月23日(水・祝)〜 11月30日(水)

ワーケーション終了後、11月28日(月)にオンライン交流会を実施しました。
学んだ習慣改善内容について振り返ったり、健康習慣を継続しているかどうかの進捗をお互いに共有したり、習慣改善に向けた機会を提供しました。

プログラム オンライン交流会の様子

実施結果

満足度調査

満足度調査では「平均4.8(5点満点中)」と皆様に高く評価いただきました。

プログラムの満足度

本プログラムに参加いただいた参加者の声を一部ご紹介
  • 運動や食事を通じた「体の健康」と、チームや他の参加者さんたちとの交流を通じた「心の健康」の両面から、改善を期待できるプログラム内容で、テレワークなどで不健康な生活が続いている働く世代にとって、有益な企画だったと思います。
  • 心と健康について自分自身を見つめ直し、それを共有できる場ができたこと、素敵だと思います。
  • 目標設定・グループに共有する」の流れがとても良かったです。「言ってしまったからには引けないマインド」で行動に移せる環境があったところが良かったです!
  • 「健康」という、僕が足りていない部分にフォーカスされていたことが良く、わかりやすかった。リモートワークや在宅ワークが多く、運動不足になっていると実感していたので、23日だけでも、十分価値観が変わる体験ができたと感じています。
  • 朝と夜の時間にコンテンツがあったので、日中はしっかり自分の仕事ができた。
  • 出社・テレワーク問わず、日中の仕事や打合せ予定を心配せずに参加できることは、大きなポイントかと思います。
  • 県外から集められた人だけではなく、県外と県内の人たちの交流ができる点仕事の時間が確保されていた点がおすすめしたいと感じました。

主観的メンタル状態(Mind Scale)

Mind Scalehttps://www.mindscale.jp/)は、ストレスを数値化する測定ツールです。
脈波、朗読、表情による測定から独自の分析を行い「マインドスケール値(以下、「MS値」)」を100点満点で算出しています。
数値が低いとストレスが高く、数値が高いとストレスが少ない状態です。
 
今回の測定では、有効回答の14名の参加者のうち6名に、MS値の大幅な改善傾向が見られました。
大きな変化が見られなかった方々は7名で、減少傾向にあった方が1名という結果になりました。
大幅な改善が見られた方々は元々の数値が比較的低い傾向にあり(平均50程度が通常)、
大きな変化が見られなかった方々は元々の数値が平均値程度であった傾向がありました。
減少した方の元々の数値は平均よりやや高めでした。

この結果から、本ワーケーションプログラムは一定の層に対して、ストレス改善に有効性があると考えられます。 Mind Scale結果

主観的健康観

自身の認識で自分が健康であるかどうかを評価する指標です。
「気持ちよく起きることができたか」「よく眠ることができたか」「食欲があるか」「仕事・生活に活力があるか」の4項目について、最低の1から最高の5までの5段階評価によるアンケート調査を実施しました。
 
結果として、有効回答の16人中10人が測定初日と測定最終日を比較して評価の合計値が向上しました。

ワーク・エンゲイジメント

ワーク・エンゲイジメントは仕事におけるメンタル面の健康度を測る指標であり、活力・熱意・没頭の平均をワーク・エンゲイジメントスコア(以下、WEスコア)とし調査を実施しました。結果は以下の通りです。

  • 「WEスコア」について、全体として14人中8人が向上している
  • 「活力」について、全体として14人中10人が向上している
  • 「熱意」について、全体として14人中3人が向上している
  • 「没頭」について、全体として14人中6人が向上している

特に「活力」が上昇した方々は14人中10人であり、活力の項目としては以下の内容が該当します。

  • 仕事をしていると、活力がみなぎるように感じる
  • 職場では、元気が出て精力的になるように感じる
  • 朝に目がさめると、さあ仕事へ行こう、という気持ちになる
  • 長時間休まずに、働き続けることができる
  • 職場では、気持ちがはつらつとしている
  • ことがうまく運んでいない時でも、辛抱強く仕事をする

リカバリー経験

リカバリー経験は、仕事による疲労やストレスを回復させるための活動の傾向を評価する指標です。
結果は以下の通りです。

  • 「心理的距離」(仕事から心理的・物理的に離れている状態)について、全体として15人中12人が向上している
  • 「リラックス」(くつろいでいる状態)について、全体として15人中11人が向上している
  • 「コントロール」(余暇の使い方を自分で決められる状態)について、全体として15人12人が向上している
  • 「熟達」(余暇を自己啓発に充てられる状態)について、全体として15人中10人が向上している

特に「コントロール」が上昇した方々は15人中12人であり、コントロールの項目としては以下の内容が該当します

  • 何をするか自分で決められると思う
  • 自分のスケジュールは自分で決める
  • 時間の過ごし方は自分で決める
  • 特に予定を決めず、やりたいように過ごす

その他の調査結果について

その他にも、以下のような調査結果が出ています。

  • 体組成計の測定結果については有意な変化はなかったものの、中長期的な成果が期待される習慣の獲得をした参加者がいた
  • WEスコアが高い人ほど主観的健康観が高いという関連性(正の相関関係)があった
  • WEスコアが高い人ほどリカバリー経験の各種項目が高いという関連性(正の相関関係)があった
体組成計の測定結果

体組成計等を用いた体重、BMI、体脂肪率などの変化については、日常変化レベルの数値に落ち着き、本プログラム期間だけでは結果の有効性が認められませんでした。
しかしながら、「毎日歯磨きをする際にスクワットをする習慣が身につきました」「毎日体重計に乗るようになり体重が落ちてきました」などの中長期的な成果が期待される習慣獲得に有効性のあるプログラムだったと考察できます。

WEスコアと主観的健康観の関係性

WEスコアと主観的健康観には関連があり(相関係数0.66)、WEスコアが高くなるほど主観的健康観も高くなる傾向にあることがわかりました。
(右図参照)

主観的健康観とWEスコアの相関

WEスコアとリカバリー経験の関係性

以下の図は、WEスコア(全期間平均)とリカバリー経験の下位尺度(全期間平均)を参加者個別に集計し、要素間の関連性を示しています。
WEスコアとリカバリー経験尺度は先行研究において、関連性(正の相関)があることが認められていますが、本実証事業においては、熟達との間に強い関係性が見られ、コントロール、リラックス、心理的距離もWEスコアと関係性があることがわかりました。

ワーク・エンゲイジメントスコア_相関関係グラフ

WEスコアが向上するような、ワーケーションプログラムやワーケーション環境が整うことで、ストレスのコントロールや熟達、主観的健康観を高められることが期待されます。